私は以下のようなキャリアを積んできました。
- レガシーな企業で5年間勤務
- まあまあイケているとされる創業8年の大きいスタートアップで2年間勤務
- まあまあイケているとされる創業3年のスタートアップで2年間勤務
- その後フリーランスとして独立して月収を倍にしている
もしキャリアについて悩んでいる・スタートアップ企業への転職を悩んでいるという人がいれば、そういった方の参考になればと思ってこの記事を書きました。
キーワードは「人と給与」です。ちなみに「給与」であって「金」ではないことに留意してください。
誰向きの記事か
本記事は以下の人にオススメです。
- 現在それなりのキャリアを歩んできており、スタートアップへの転職を検討している人
- 転職活動をすれば一定の会社には転職できる人
対象せまい・・・
私のキャリア
さて、まずはこんな記事を書く私がどういう経験をしている人か、より詳細に説明していきたいと思います。
- レガシーなコンサル業界で5年経験
- 外資系コンサル・戦略コンサルなどの華やかな世界ではないコンサル業界で5年勤めました。
- とにかく色々経験しました。よく働きました。年度末は1ヶ月あたり過労死ラインの2倍の残業を難なく?こなしてきました。
- 同じ業界で20年以上やっている上司の元、全て自分に任せて仕事をしてもらったことでだいぶ社会人としての仕事スキルを獲得することができました。
- 創業8年のまあまあ大きいスタートアップで事業戦略経験(スタートアップと呼べるか不明)
- ここでIT系・データ系の道に踏み入れました。
- 社内で導入しているツールを色々触らせてもらったり、SQLを教えてもらいたりしました。
- が、仕事のやり方という面では全く教えてもらったことはないです。むしろ自分が教える側でした。
- 給与水準は残業代込みの1社目と変わっていないです。
- 同業界への転職で年収+100万というオファーもありましたが、異業界へのチャレンジがしたく、年収維持で転職できるなら得という判断をしたためあまり後悔はありませんでした。
- 創業3年のスタートアップで強み(SalesOps)+何でも屋経験
- 営業の電話をする役割を3ヶ月経験するなど、色々な挑戦はできました。
- が、ここでも仕事を教わるという感じはなく、むしろ人に教えるという立場になっていました。(この辺は後述する人による部分)
- それでいて給与水準は前職と同じで、残業代込みの1社目と変わりませんでした。
- 給与水準などは入社前には決まっておらず、ほぼ言い値でした。ここにはかなり後悔があります…
- 現在はスタートアップを辞めて独立。月収は倍以上に。
- プレイヤーとして独立して、1案件で月収95万円(税抜き)を受注しました。
- これでも、「是非私にきて欲しい」という形のオファーをいただいています。
スタートアップ転職のリスクその①「人」
スタートアップ転職のリスク。
これはもう、「人」と「給与」。これに尽きると考えています。実体験を踏まえても。。
ます、「人」について。
人は変わらない生き物
私は2社目を退職する際に、2社目での人間関係に悩んでいました。
周囲ぶは「人間関係なんてどこに行っても良し悪しがある。人間関係で会社を選ぶのではなく、どういう人と一緒にいても問題ないメンタルを持つことが重要」という人もいました。
当時の私は「そうだな…自分が悪いな…ああどうすれば良いのだ」と途方に暮れていましたが…
これが、大きな間違いなのです。
「すべての悩みは対人関係の悩みである」
「人は変わらない」
嫌われる勇気を読んだことがある人は分かると思いますが、まさにそうなのです。
実際、会社のミッション・ビジョン・行動指針とか、みんな偉そうに言っていますが、あんなものに意味はありません笑
だって、どこも一緒でしょ、あんなの。笑
意味があるのは、その会社のミッション・ビジョン・行動指針に従って組織や人が行動しているかなのですよね。
なので、結局は人なのですよね。
という感じで、対人関係が良い・人として合う環境で働きたい、と思うことは極めて自然なのですよね。
ただ、「そういうのは不確定要素だよね?そうじゃなくうちのミッションやビジョンは他社と違って・・・」とかいう人多いじゃないですか?
そういう人はただスタートアップという魔物に洗脳された可哀想な人なので、無視して自分の主張を貫きましょう。
ちなみにこれはスタートアップ転職に限らず転職全般に言えることですが、「誰と働くか」というのをきちんと見極めることは非常に重要なのです。
そして特に、「スタートアップ転職」においては、以下の2点から「通常の転職よりも特に人間関係を重要にしないといけない」と考えています。
- そもそも人が少ないので合わない人がいても常に一緒に仕事をしないといけない可能性が高い
- 上場している企業などと比べるとどうしても問題が起こる可能性が高く、そうなると合わない人との歪みが大きくなる可能性も高い
”人は関係ない”と考えるあなたに
「人がどうであっても、自分が変えてしまえば良い」
良いですね。おっしゃる通りです。
でも、これちょっとズレているのですよね。。
まず、「人は変わらない」ということです。先ほども書きましたが、人は変わりません。今日優秀じゃない人が明日優秀になることはありません。「あなたのこういうところが耐えられないし会社の成長の阻害になっている、直してください」と言って翌日は変わるかもしれないですが、1ヶ月後にはまたモンスターに戻っているのです。
そもそもそういった「合わない人がいる」という環境は、「合わない人を採用する」「自分と合わないように人が変わっていく」環境と言えるのです。
なので、残念ながら変わりません。
これは、私が10番目くらいの社員として入社した会社でもそうでした。
自分が入社に関与していない人が、採用にあたってA評価をつけたりするわけです。
「いやいや、あんな奴が評価してどうすんねん」とか1人が思っても遅いのです。
そういう人が採用に関わると何が起きるか、言うまでもないですよね。
というのも結局一番大きな意思決定をするのは1人目の社員(社長)しかいないのです。
なので、「俺が入社して会社を変えてやる!」とするのであれば、自分が入るまでに入社した人の一定数を辞めさせる必要が出てくるはずです。自分が社長と違う人間である以上、自分と社長の意思決定が100%一致することはあり得ないので。
なので、そこまで自分で変えたいのであれば、自分で起業するのが一番です。
スタートアップ転職のリスクその②「給与」
スタートアップ転職に重要になる「給与」について
これ、めちゃくちゃ大事なのですよ。
なんか「お金のことを気にしないことが美しい」みたいな風土?あるじゃないですか。
スタートアップ的に言うと、「お金のことを気にしないことがイケている」ですかね。
本当に、そういうのダメです。
何を隠そう、私も3社目に転職した時はもはや思い出したくないほどのイキリ野郎でした。
あ、金?まあ金は副業すればいくらでも稼げることは知っているし、普通に転職したらもっと給与が高いことも知っているんだよね。
でもなんていうの、金じゃなくてさ…
世の中を変えようと思っているんだよね。
自分で言うのもなんですが、こう言うやつを「キショいやつ」って呼ぶ感じがありますね…
これを見て離脱する前にひとつだけ聞いてください!
はい、僕が100%間違っていました。
僕はクソダサかったです。すみませんでした。
離脱するなら、↑の懺悔まで読んでからにしてもらいたいです。(いやまあまだ離脱しないで欲しいですが、、)
僕は2社目より若干低い給与を提示されて、かつSOについての話もなく(元々「社員全員に配布しますよ」とは言っていたが)「まあまだ売り上げがないスタートアップだし、これくらいが妥当かな」と思ってOKを出しました。
もうね、本当こういうのダメ。
みなさん、家電量販店に行って、そのまま家電を買いますか?
買わないですよね?「他店だと3,000円安いのですが、こちらでもっと値下げしてもらうことはできないですか?」と交渉しますよね?
年収も同じです。例えば年収が500万というオファーをもらったとして、
「この会社での機会にはとても価値を感じている。が、他社から700万のオファーをもらって悩んでいる。」
といった交渉をちゃんとしましょう。
SO込みで云々…と言われても、SOではダメです。その理由も説明します。
スタートアップ転職に重要になるのが「給与」であり、「お金全体(SO込みなど)」ではない理由
また家電量販店に行くとしましょう。ちょっといびつな例えですが
- 現状8万円だが将来的に15万円になるかもしれない洗濯機
があった場合、あなたはいくらで購入しますか?15万円払って買いますか?
買わないですよね?8万円で買いますよね?
要は、SOを持っている人が転職するときにこうなる、という話です。
SOが入ってくるまで給与が低い状態であれば、市場からは「給与が低い労働者」とラベリングされるわけです。
転職活動でオファーをもらったことがある人なら分かると思いますが、転職において給与を決めるのは経験・実績・能力でもなんでもなく、「前職の給与」です。
「前職の給与」だけは、死ぬ気で守らないといけません。
”お金より直近の経験派”のあなたに
「お金なんてなくても、経験を積むことでその後のお金はいくらでも変わる」
良いですね。おっしゃる通りです。
でも、これもちょっとズレているのですよね。。
まず、そもそもお金をもらう人は、成果を出した人ではありません。
例えば給与が増えるとはどういうことかというと、「給与を決定する人が、この人に給与を多めに払う方が良い」と判断した場合です。
成果なんて目に見えるものも目に見えないものもあります。そして「給与を決定する人」が判断できない場合もあります。
前職の給与が高かったらから給与が高い人もいるでしょう。
なので、「入ってからどうする」では遅いのです。
そもそも入ってしまった以上、自分が株主でもなければ自分には究極的にはどうにもできないのですから・・・
そうなると、結局は「成果を出して事業をグロースさせること」よりも、「給与を決定する人にとって評価される存在になること」の方が、給与が増えやすいという状態になってしまいます。
もちろん、スタートアップで経験派だ!というあなたは、「成果を出して事業をグロースさせること」にコミットしますよね?
それでは給与は増えないのです。代わりに、「会社にとって良い社員」になります。
そこで転職活動をしたらどうなるか。
- 現状8万円だが将来的に15万円になるかもしれない洗濯機
という訳です。
結局、給与というものは能力や経験と等価交換できるわけではないので、もし「給与もそれなりに …」と思うのであれば、給与という”飾り”にもきちんと手を加えておく必要があります。
スタートアップ転職で人を見極める方法
結論ですが、ありません。笑
「スタートアップ転職で人を見極める方法は無い」という前提で転職活動をする、しか対策はないです。
これは採用業界の闇ですね。。
採用したい人・採用されたい人が居合わせる以上、どちらもよそ向きの良い顔をしますよね?
なので、人として合う合わないを面接の場で判断するのは無理だと考えましょう。
みなさんデートする時、初めて会ってそのまま結婚しないですよね?色々な話をしたり、デートをしたりして、結婚相手に相応しいか見極めますよね?結婚ではなくて付き合う時もそうしますよね?
であれば転職でも同じことをしましょう。
私のオススメとしては、「業務委託でテスト入社しましょう」ということです。
まあ、私はこれをやっても失敗したのですが。笑
業務委託で仕事はしたので仕事面の不安は無かったのですが、人間面の確認を怠ったことです。
人数が少なければ、皆と1on1を組むくらいの方が良いと思います。
周りの声に惑わされず、1on1等でバシッと色々確認するようにしましょう。
特に、闇深い部分としては、スタートアップの社員は一種の洗脳状態になっている人も多く、なんというか「みんな最高のメンバーだぜ!」みたいな状態になっていることも多いと思われるので、自分の目で見て頭で考えて判断するのが良いと思います。
スタートアップ転職で年収を上げる方法(一般的な転職にも適用可能)
要は家電量販店の値切り交渉と同じ、という感じです。
OK例
- 「他ではいくらの給料でオファーをもらっている。その会社と悩んでいて、御社に入るのであればいくら以上は欲しいです。」
NG例
- 「自分は○○のスキルがあり、それで○○円以上は利益が出せるため、○○円以上はもらいたいです。」
スタートアップというのは「いくら売り上げが出るから、いくらの給与を払う」という構造にはなっていません。
基本的には赤字です。赤字で、どんどん資金調達をして、急成長させていくのがスタートアップです。
なので、利益が出るならどんどん投資に回します。なので、「いくら稼いでいるからいくらくらいはもらうべきだ」という考え方は通じません。
反対に、「他社とのオファーの比較」は利用できます。
スタートアップからすると、その人が採用できるか否かが最重要ポイントになります。その人にいくら払うか、ではありません。(個人的には「その人にいくら払うか」という観点で採用ができているスタートアップは強いと思いますが、今のスタートアップ界隈の構造を考えると存在し得ないように思います)
なんならオファーを出す側からすれば、正直なところ「月収30万と50万の差」<「その人が入社するか入社しないかの差」なのですよね。
会社員をしていると分かると思いますが、新しく入る人の給与がいくらか、とかは知り得ません。(知らせると不都合が生じる状況が多いため)
なので、思いっきり給与の交渉をしましょう。
スタートアップ企業もある程度人生を賭けてやっているものが多いかもしれませんが、そこで働く人はそれ以上に人生を賭けていることをキチンと認知すべきです。
会社なんてよほど変な借り入れをしていない限り、潰れたって困らないですから。
でも一人の人生はそうはいきません。人生と真面目に向き合うという意味でも、きちんと給与交渉をすることをお勧めします。
会社は潰れてもやり直せます。人一人の人生は潰れるとやり直すのは大変です。慎重になることは何もおかしくない。慎重に、自分にとって良い状況を作れるように進めましょう。
スタートアップ転職のリスクとその回避方法 まとめ
スタートアップ転職のメリットデメリットなどは、色々な記事に書かれていますし、正直なところ会社や、その人次第で大きく変わるのであまり述べても意味がないかなと考えています。
ただ、「スタートアップに転職する人はそんなことを気にするな、自分でどうにかしろ」と言わんばかりに「人」「給与」のことを軽視し過ぎる傾向があるな、と思ったのでこの記事を書きました。
私自身スタートアップに転職しましたが、正直なところとっとと独立をしておけば良かったという後悔はかなり大きいです。実際2社のスタートアップで2年ずつ働きましたが、1年ちょっとずつで良かったなと思っています。後半の1年はぐだぐだ過ごす羽目になったという感覚が大きいです。ただ前半の1年は良い経験になりました。(ただ、もっとお金はもらえたので、もらっておくべきだったという後悔はいずれにしてもあります。。)
この辺の「辞め時」についてはまた改めて記事にしようと思います。
ちなみに私はスタートアップへの転職はメリットがないから辞めておけ!というつもりはありません。
スタートアップという”環境”のおかげで自分の市場価値をあげたり、良い出会いがあったりという経験はあります。そういったメリットはあります。
ただ、これはスタートアップだから経験できたのか?と言われると分かりません。スタートアップにいなくてもその人次第で経験できるものがたくさんあると思います。
そう考えると、スタートアップへの転職をするのであれば割と軽視されがちな人間関係や金銭関係についてのより生々しい意見に価値があるかなと考えているところです。
さて、スタートアップ転職のリスクとその回避方法について色々書いてきたのですが、スタートアップ転職のリスク回避のためのおすすめの方法を最後にまとめておきます。
- 自分の”値札”をつける
- 転職活動をして自分がいくらくらいの市場価値があるか知る
- フリーランスとして自分がいくらくらいの市場価値があるか知る
- 本当にスタートアップに挑戦すべきか改めて考える
- スタートアップは「経験がある人から学べる」環境ではない
- 自分で学ぶなら、別にスタートアップに拘る必要はない
- 今の会社で正社員として働きながら学ぶ
- 自分が学ぶことに近い内容の会社に転職して、働きながら学ぶ
- 優秀なメンバーが取れ続ける稀有なスタートアップでない限り、ジュニアなメンバーに教えるという時間を多く取られて自分の牙を研ぐ時間が減る可能性もある
- スタートアップに挑戦するくらいなら起業・独立しちゃいませんか?
- 起業できないスキルならスタートアップに行っても苦しみそう
- そういう人が容易に入れるスタートアップ自体の価値が低そう
- 逆にスキルがあるのであれば、一人でやる方が「本当に自分がしたい挑戦」ができるのでは?と思う
- 安定を取りたいなら大手コンサルなどに転職した方が良いのでは?と思う
以上です。
最後に、フリーランスとしての自分の値札がいくらになるか気になる人は、以下からエージェントさんに相談してみましょう。INTLOOP社の「ハイパフォーマンスコンサルタント」というサービスではフリーランスのコンサルティングについては、月100万程度の案件も多く抱えられているようです。
登録は相談はもちろん無料です。スタートアップに転職するにあたっては、こういったプロのエージェントさんに登録をして色々相談しておきましょう。フリーランス案件で○○円、という業務が取れると分かると、色々な面で安心感が増すと思うので特にオススメです。
転職活動であれば、エージェントさんと話をして市場価値を確認しましょう。個人的にはJAC Recruitmentがオススメです。
登録は相談はもちろん無料です。スタートアップに転職するにあたっては、こういったプロのエージェントさんに登録をして色々相談しておきましょう。
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