【人はどういう理由で動くのかを理解する】『ジョブ理論』のレビュー

生産性を上げる考え方

こんにちは。

今日は、『ジョブ理論』のレビューを書いていこうと思います。

ジョブ理論は私が読んで衝撃を受けた・行動を変えた本の中でも上位に位置します。読んで損はないと思います。

仕事の方がイメージしやすいかもしれませんが、「なかなか自分が思うように物事が進まないな」「なかなか取引先が思うように動いてくれないな」と思うことはありませんか。

そういった課題を解決する際に、この『ジョブ理論』で書かれている考え方が役立ちます。

今日はそんな『ジョブ理論』がどういった人向けか、読むことでどういうことが分かるかを整理していきます。

『ジョブ理論』とはどういう本か

本書は『ジョブ理論』という邦題になっていますが、英語では『Competing Against Luck』という名前になっています。
実はここに答えがあると思っています。
この英語を大学受験英語レベルで訳すと「運との競争」という感じかと思います。
本書を読むとこれがしっくりくるのですが、本書では「消費者は機能や価格だけで商品を買うのではなく、自分が持っている課題を解決できる商品を買う」ということが書かれています。

英語のタイトルを踏まえると、商品を売る時に運で選んでもらうのではなく、確実に選んでもらうためにはどうしたら良いか、といった内容の本ということかと思います。

これだけ聞くと、「え、当たり前じゃん」と思うかもしれないですが、仕事や実生活になるとこの当たり前が至るところに現れる、想像の範囲外からやってくるという側面があり、実は意外とできていないことが分かると思います。『ジョブ理論』を読むことで理解が深まり、行動に移せるようになることがこの本を読む意味と考えています。

『ジョブ理論』で代表される例え 朝のミルクシェイクのジレンマ

本書で有名な話として、朝のミルクシェイクのジレンマというものがある。こちらを紹介するとこの『ジョブ理論』についてのイメージがより湧くと思うので紹介します。

舞台は1990年代の半ばのアメリカ、「どうすればもっと朝のミルクシェイクが売れるか」というプロジェクトがあった。そこで取り組んだ内容が以下である。まずはジョブ理論というフレームワークを用いたなかった動きになります。

  • 数ヶ月に及んで顧客と似た属性の人たちに、改善点をヒアリングした
    • 値段が安ければ良いか?
    • 量が多ければ良いか?
    • もっと硬く凍らせると良いか?
    • チョコレート味を濃くしたら良いか
  • その結果を踏まえて売る側っはあれこれ努力したが、売り上げに変化はなかった

なんというか、普通のアプローチで、間違っていないように思いますよね?でもこれは『ジョブ理論』からすると間違ったアプローチになります。

では、『ジョブ理論』的にはどういうアプローチが良いか?それがこちらです。

  • そこで調査チームは全く違う方向から課題に取り組んだ
  • 「来店客の生活に起きたどんなジョブ(用事・仕事)が、彼らを店に向かわせ、ミルクシェイクを”雇用”(ジョブを解決するために購入)したのか」を調査した
  • 一番売れる時間帯であった「午前9時前」の顧客は、店内では飲まずに車で走り去っていくことが分かった
  • するとすぐ明らかになったのは、その時間帯が抱えていたジョブ(用事・仕事)は同じもので、「仕事先まで、長く退屈な運転をしなければならないこと」だった
  • 他にそのジョブ(用事・仕事)を解決できる”雇用”を探したが、全てダメだった
    • バナナを食べる時もあるが、すぐに食べ終わりまたお腹が減るのでダメ
    • ドーナツは崩れるし油でベタベタするので運転には向かない
    • ベーグルはパサパサしている、運転中なのでジャムも塗れない
    • スニッカーズは「朝に甘いお菓子を食べている”罪悪感”」で辞めた
  • 一方で、シェイクは以下の理由で他の”雇用”に勝利した
    • ストローが細いので飲み終えるまでに時間がかかり、朝食と昼食の間の空腹感を満たせる
    • 車のカップホルダーにもピッタリ

そして、以下のことも書かれている。

  • 人口統計学的な共通要素はなかった
  • 彼らに共通するのはただ、「朝の通勤の運転中に、退屈せずに、空腹を紛らわせるためのものが欲しい」というジョブ(用事・仕事)だけだった

『ジョブ理論』で伝えたいことは何か

『ジョブ理論』は上記の朝のミルクシェイクの話のように、ビジネスでイノベーションを起こすために必要になる考え方として、どんなジョブ(用事・仕事)を解決したいから、何を”雇用”(ジョブを解決するために購入)するかというアプローチについて語られています。

そして、こういった思考プロセスは、ビジネスでのイノベーションを起こすこと自体だけでなく、あらゆることに適用できると書かれています。
例えば組織をどうすべきかといった側面にも活用できる考え方である、といった内容が具体例とともに書かれています。

『ジョブ理論』はどういった人向けか

これは雑ですが、、全ての人に読んでもらいたいです。笑

仕事でいうと、「新規事業開発」「事業開発」とか、「新たなサービスや商品を作ることで、事業成長をすすめる」人たちに向けたもの、というのが一般的なイメージかなと思います。

ただ、本書は「人間がどういう意思決定プロセスでモノを買っているか」という視点が強いように思えますが、これは言い換えると「人間がどういう意思決定プロセスであらゆる判断をしているか」ということになると考えています。

なので、全ての人にとって活用できる知見に富んだ本だと考えています。

特にこちらの本、私の記事だけ読むと、「まあ、言われればそういうの分かるよ、うんうん」というモノではないかと考えています。だからこそ、意識して読んで学ばないといざというところで実際の行動に活用できないと私は考えています。

ぜひ手に取っていただきたいと思います。

個人的な考え 『ジョブ理論』を仕事・日常生活にどう活かすか

ここからは私の感想になりますので、不要な人は読み飛ばしてもらえればと思います。

ジョブ理論を読む中で、私は以下のことを強く意識するようになりました。

  • 人間は皆”自分にとっては”合理的な判断をもとに行動している。
  • 例えば口下手で説明が下手な人であっても、その人なりの価値観・判断軸によって「より良い」と判断できるような行動をしている。

というのも、朝のミルクシェイクの例を見ると、

  • 朝のミルクシェイクひとつをとっても、自然と他の商品を比較をして選んでいる
  • パッとアンケートをしてもそれは抽出できない
  • 根気強く質問をして、「敢えて細かい話をするのであれば…」という状態にならないと、本当の判断基準は出てこない

ということが特性として存在していると考えたからです。

どういうことか。私なりにですが説明していきます。


 

例えば、「なんでそんなことするの?仕事にとって全然意味がないじゃないか!」と思うような人の行動・判断ってありますよね?

例えば、自分の部下が仕事で失敗したとします。

  • なんでそんな大事なことを上司である自分に相談せずに判断したのか?

といった場面があるとします。これをジョブ理論に当てはめてみようと思います。

  • なんでそんな大事なことを上司に相談せずに判断したの?
    • 上司が忙しそう/上司との関係性が良くなく、上司に相談したくなかった、が、仕事はしないといけないので上司に相談せず進めた
    • 自分としては確実に成果が出せると思っていたので上司に相談せず進めた
    • 自分としては確実に成果が出せると思っているが、上司に過去に相談しても取り合ってもらえなかった経験から相談しない方が良いと判断した
    • ・・・・

など、いくらでもでできそうですよね?

こういう時に、自分は「上司にこういうことを相談しないなんて、なんて仕事ができない人なんだ」と安易に思うタイプでした。

が、要はその人が仕事ができるとかそういう話ではなく、その人の中で「上司に相談する理由」<「上司に相談しない理由」となった、というのがシンプルな理由なんだなと思うようになりました。

というもの、こういった行動をした人に話を聞いても「悪気があってやった」とか、そういうことはないのですよね。本人としても無駄なことを敢えてしたいとか、思わないはずなので。

ということは何が大事か。

  • 上司・部下が、合理的な判断ができるような環境を作ること

これが一番大事だと思いました。

なんという当たり前のこと・・・と思うかもしれませんが、具体的にはこういうイメージです。

  • 上司に相談するルールを作る
    • 部下が上司に相談をすると得になるラインを相談の判断基準にする
  • 「上司に相談したい」と思うような関係性を構築する
    • →上司として相談して欲しい時(◯◯という条件を超えた時)は、相談した方が部下にとって得するという状態にする
  • 相談すべきことで相談していないことがありそうだったら個別に確認する
    • 相談すべきことで相談していないことがあると損する状態にして、本人が相談したいと思えるようにする
    • 例えば、「定例で相談されていなかったら毎回確認する」など
      • ただこういうネガティブなアプローチより、「相談したらすぐ解決して、仕事がしやすくなった!やはり相談しておくのが得だな」と思える状態を作る方が良いとは考える

こういうのを見ると、「要は信頼関係を結べば良いのでしょ?」という人がいるかもしれません。それは間違いではないと思いますが、「では信頼関係は何か?」という話になると思います。そしてその信頼関係というものを具体化していかないと、「本当に信頼関係があると言えるか?」「本当に信頼関係が大事と言えるか?」ということは説明できないと考えています。

なので、「信頼関係を結べば良い」といった抽象的で、具体的な効果が分からないような状態を目指すのではなく、ジョブ理論に沿って具体的な効果ややり方が分かる状態まで昇華させ、行動に移すことが大事だと考えています。

こういう思考ができないと、「信頼関係を結ぶために飲みに行って奢る!」といった行動が起こる可能性もあります。こういった行動に意味があるかどうかは、言うまでもないですよね。でもそれはジョブ理論によって説明できる、ということになります。

余談ですが、こういったことを意識してチームマネジメントをすると、

  • メンバーが相談してくれるようになる
  • メンバーが主体的に活動するようになる
  • (おそらく)成果が出る
    • 成果が出る前に体制変更があったのですが、成果が出そうな数字の傾向や、良い雰囲気は作れたように思っています

といった成果がありました。

また、こういう思想をプライベートでも取り入れることで、プライベートでも色々なことをうまく進められるようになったなと感じています。

終わりに

今回はジョブ理論についてまとめました。

私としては「個人的な考え 『ジョブ理論』を仕事・日常生活にどう活かすか」に記載したような形で、「人との関係性構築やチームプレイなどにおいて必要なものが具体的に何か考えられるようになった」というのが本書を読み価値を感じた部分です。

読んでみると今回紹介した話が良り詳しく、また研究成果などがセットで書かれているので、行動に繋がるような深い学びがあるのではないかと思います。

まだ読んだことがない人は、ぜひ一度手に取っていただければと思います。

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